ちょっとそこのあなた 名探偵になってみない?
蚊取湖の氷上で発見された死体の首には、包帯が巻きつけられていた。前日に、病院で被害者の男性と遭遇した慶子と美那は、警察からあらぬ疑いをかけられて──。泡坂妻夫「蚊取湖殺人事件」をはじめ、西澤保彦、小林泰三、麻耶雄嵩、法月綸太郎、芦辺拓、霞流一が贈る7つの挑戦状。問題編の記述から、見事に事件の真相を推理できますか? 犯人当てミステリの醍醐味をあなたに。
泡坂妻夫「蚊取湖殺人事件」
氷上で見つかった死体の首には、包帯が巻きつけられていた。
西澤保彦「お弁当ぐるぐる」
白昼に失職中の夫が殺された。彼の弁当を食べたのは誰か。
小林泰三「大きな森の小さな密室」
高利貸の男は誰に殺されたか。密室に入れたのは。
麻耶雄嵩「ヘリオスの神像」
荒らされた部屋、壊された神像。誰が被害者を殺害できたか。
法月綸太郎「ゼウスの息子たち」
客室で殺された恐喝者。ダイイングメッセージの意味は。
芦辺拓「読者よ欺かれておくれ」
ペンシオンでの殺人。その夜鉄仮面の女性が出現する。
霞流一「左手でバーベキュー」
高原の別荘で殺された男性、消えたガラス細工との関連は。
泡坂妻夫
(アワサカツマオ )1933年東京生まれ。75年「DL2号機事件」が第1回幻影城新人賞佳作となりデビュー。78年『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞、82年『喜劇悲奇劇』で第9回角川小説賞、88年『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞、90年『蔭桔梗』で第103回直木賞を受賞。著書に『亜愛一郎の狼狽』『湖底のまつり』『煙の殺意』『妖女のねむり』『しあわせの書』『生者と死者』『夜光亭の一夜』等がある。奇術界でも著名で、69年に石田天海賞を受賞。2009年没。
西澤保彦
(ニシザワヤスヒコ )1960年高知県生まれ。アメリカ・エカード大学創作法専修卒。第1回鮎川哲也賞最終候補を経て、95年『解体諸因』でデビュー。〈匠千暁〉シリーズ、〈神麻嗣子〉シリーズ、〈腕貫探偵〉シリーズや、『七回死んだ男』などSF要素のある本格ミステリで人気を博す。近著に『夢の迷い路』『沈黙の目撃者』『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』『夢魔の牢獄』『偶然にして最悪の邂逅』などがある。
小林泰三
(コバヤシヤスミ )1962年、京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」が第10回SFマガジン読者賞(国内部門)を受賞し、同短編を表題作とした2002年刊の短編集は、第22回日本SF大賞候補作となった『AΩ(アルファ・オメガ)』に続き、第23回日本SF大賞候補作となる。『天獄と地国』、『ウルトラマンF』でそれぞれ第43回、第48回星雲賞(日本長編部門)を、また、『アリス殺し』で2014年啓文堂書店文芸書大賞を受賞する。他に『大きな森の小さな密室』『完全・犯罪』『クララ殺し』『ドロシイ殺し』『ティンカー・ベル殺し』『殺人鬼にまつわる備忘録』『人外サーカス』『未来からの脱出』などの著書がある。2020年没。2021年、第41回日本SF大賞功績賞が贈られた。
麻耶雄嵩
(マヤユタカ )1969年三重県生まれ。京都大学卒。91年『翼ある闇』でデビュー。2011年『隻眼の少女』が第64回日本推理作家協会賞ならびに第11回本格ミステリ大賞を、15年『さよなら神様』が第15回本格ミステリ大賞を受賞。主な著書に『夏と冬の奏鳴曲』『メルカトルと美袋のための殺人』『鴉』『木製の王子』『螢』『神様ゲーム』『貴族探偵』『メルカトルかく語りき』『友達以上探偵未満』がある。
法月綸太郎
(ノリヅキリンタロウ )1964年島根県生まれ。京都大学卒。88年『密閉教室』でデビュー。2002年「都市伝説パズル」が第55回日本推理作家協会賞を、05年『生首に聞いてみろ』が第5回本格ミステリ大賞を受賞。主な著書に『誰彼』『頼子のために』『一の悲劇』『ふたたび赤い悪夢』『二の悲劇』『法月綸太郎の新冒険』『キングを探せ』『ノックス・マシン』『挑戦者たち』が、評論では『謎解きが終ったら 法月綸太郎ミステリー論集』や〈法月綸太郎ミステリー塾〉がある。
芦辺拓
(アシベタク )1958年大阪府生まれ。同志社大学卒。86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞に佳作入選。90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。2022年『大鞠家殺人事件』で第75回日本推理作家協会賞および第22回本格ミステリ大賞を受賞。著作として『綺想宮殺人事件』『スチームオペラ』『奇譚を売る店』『異次元の館の殺人』『ダブル・ミステリ』『名探偵は誰だ』『乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび』など多数。
霞流一
(カスミリュウイチ )1959年岡山県生まれ。早稲田大学卒。94年『おなじ墓のムジナ』で第14回横溝正史賞に佳作入選しデビュー。95年『フォックスの死劇』、2001年『スティームタイガーの死走』でバカミス大賞を獲得するなど、ミステリと笑いの共存した作風にファンも多い。