浅羽莢子
(アサバサヤコ )1953年生まれ。英米文学翻訳家。東京大学文学部卒。主な訳書にセイヤーズ『学寮祭の夜』、チャーチル『ゴミと罰』、マクラウド『納骨堂の奥に』、キャロル『死者の書』、ピーク『ゴーメンガースト』など多数。2006年歿。
コーストン・アマチュア劇団は、今回『アマデウス』を演目に選んだ。素人の手には余る戯曲を前に、劇団内には不穏な緊張が形づくられていくが、訪れた講演初日、芝居が進行する舞台上……
ファンタジイ >> ダーク・ファンタジイ
おれはハリー・ラドクリフ、天才建築家だ。天才だから何をしても許される。で、みんなに嫌なやつって思われてるわけだ。2人の女と適当につきあってブラブラしてたある日、アラブの偉い……
今年もクリスマスがやってきた。二男一女を抱えるジェーンには頭の痛いシーズンだ。おまけに今回は、疎遠にしていた旧友が性格最悪の息子を連れて遊びに来たから、たまらない。盛りあがる険悪……
幸せな気分で唄いながら、セーラはペンキを塗りたくっていった。恒例プレザンス海賊団によるギルバート&サリヴァンの公演を前に、今年は珍事が続出。急遽、伯母から大道具画家に……
ホリーは二十一歳で過去の人、か。ふとしたことから迷いこんだモデル業だったが、撮影中事故にあい、引退を余儀なくされた。ニューヨークの街並みから、風光明媚なこの……
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兄が死んだのは、ぼくが13のときだった。線路を渡ろうとして転び、第3軌条に触れて感電死したのだ。いや、それは嘘だ。ほんとは……。ぼくは今、ウィーンで作家活動……
ジェム伯父はその日、由緒正しい〈大鎖〉を着け、新会長として浮かれ鱈同志の会に臨んだ。ところが席上、その鎖が忽然と姿を消してしまう。セーラとマックスは新婚早々……
お隣で掃除婦さんが掃除機のコードで絞殺され、疑われたのは近所の主婦一同。わが家を守るためジェーンは探偵役を買って出た。シリーズ第1弾。
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おれの親友のフィルは映画監督、ホラー映画のシリーズをあてて絶好調だ。そいつが新作の完成直前にライフル自殺しちまった。フィルはおれにビデオ・テープを残してた。なかには……
息抜きがてらビターソーンと二人きりの時を過ごそうと、セーラは夏の別荘地を訪れた。だが、高価な骨董品、ビルバオの鏡が留守宅に置き去りにされたのを皮切りに……
「眠そうですね、ケリングさん?」ビターソンがこちらを見て微笑んだ。マダムの御殿と呼ばれる風変わりな美術館へとやってきたのだが、暖かい四月の午後、自然に心も緩んでしまう。けれど微……
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ぼくは呆然としていた。目の前に、30数年前に死んだ男の墓がある。そこに彫られた男の肖像が、なんとぼくそのものだったのだ! そのとき見知らぬ老婆が声をかけてきた。「ここにたどり……
セーラはため息をついた。生活のため自宅を下宿に改造する気になったのだが、何を提案しようが一族が盛大にもめることぐらい、予期しているべきだった。でも諦めるわけにはいかない。自ら……
ファンタジイ >> ダーク・ファンタジイ
あたしはとっても幸せ。この世でいちばんすてきな旦那さまがいるし、おなかには赤ちゃんだって。でも最近、変な連続夢を見始めた。やがて夢が現実に少しずつ忍びこみはじめたとき……!
ボストン・コモン近く。セーラは納骨堂の開扉に立ち会っていた。葬儀におしかけてくる人たちに何を食べさせたものかと考えながら。だが物思いはすぐに断ち切られる。ようやく開かれた……
ファンタジイ >> ダーク・ファンタジイ
ぼくの目の前で少年がトラックにはねられた。事故のあと町の人間が聞いてきた。「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」笑って? ダーク・ファンタジイの鬼才、驚愕のデビュー作!
ゴーメンガースト城を逃れ、己を知るべく〈外〉の世界に初めて足を踏み入れたタイタス。その彼が目のあたりにしたのは、棲む者の誰一人として……
ゴーメンガースト城の当主はいまだ年少の第77代伯爵タイタス・グローン。彼は、何千年も前から繰り返される煩瑣な儀式に飽き、未知の外界へ、燃えるような憧れをを抱きはじめた。一方、使用人から成り上がった……
いつとは知れぬ時の、いずことも知れぬ地にその城はあった。巨大な石の迷宮ゴーメンガースト。そして今、77代城主が呱々の産声を上げた。菫色の瞳をもつこの男児の名はタイタス……
遠く離れた土星の衛星タイタンに住む野蛮な宇宙人と地球人の交信を描くヒューゴー賞受賞作「琥珀のひとみ」。亜光速航行によるウラシマ効果のために孤独を……