「あなたの眼が見たい。わたしは傷ついたりしないわ」地球から来た少女にせがまれ、月世界生まれの彼はゴーグルを外した。これは犯罪行為だった──地球に存在しない、表現しようのない色の眼を直視した者は錯乱するからだ。官憲の手が迫るなか、彼は疑問を抱く。なぜこんな制約を受けるのか。語られぬ真実を暴くため、彼は仲間たちと、月の裏側にある史上最大の紙の本の図書館を目指す。訳者あとがき=茂木健
スティーヴン・タニー
1959年、アメリカ合衆国ニューヨーク生まれ。美術学校を卒業後、画家、シンガーソングライター(ドッグボウル名義)として活動。92年に長編Flanで小説家デビュー。長編第2作『100%月世界少年』は初のSF作品である。
茂木健
(モギタケシ )1959年生まれ、翻訳家。訳書にウィルスン《時間封鎖》三部作、ティドハー『完璧な夏の日』、ウォルトン『図書室の魔法』《ファージング》三部作ほか多数。著書に『バラッドの世界』『フィドルの本』。