フィリップ・K・ディック賞特別賞受賞
他の人々とテレパシーのように直接通信できる「鳥信号」、最高の相性を持つ結婚相手を自動的に計算してくれる「インラブ」、遺体をロケットで打ち上げて華々しい流れ星にする「ラブデス」……謎めいた科学者ラブスターの数々の大発明により、世の中はすっかり様変わり。インラブにより「運命の相手は別にいる」と計算されたせいで恋人シグリッドと引き裂かれてしまったインドリディは、彼女を取り戻すべく奮闘する。一方、「愛」や「死」をも数字で計算できる産業に変えてきたラブスターは、ついに「信じる心」を計算可能とする発見を成し遂げようとしていた。ラブスターの管理を離れたラブデスが、一億人の遺体を一斉に降らせる〈一億の星祭り〉計画を実行に移すとき、彼らの旅路は交錯する……優しくてちょっと奇妙な、世界の終わりと再生の物語。2012年ディック賞特別賞受賞。
アンドリ・S・マグナソン
1973年アイスランド・レイキャヴィク生まれ。これまでに5冊の本を上梓(じょうし)し、アイスランド文学賞を3回受賞、世界30ヵ国以上で著書が翻訳・紹介されているベストセラー作家。『ラブスター博士の最後の発見』(LoveStar, 2002)は2012年に英訳され、フィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞した(英訳作品による同賞受賞は伊藤計劃(けいかく)『ハーモニー』につづく2人目)。邦訳に児童書『青い惑星のはなし』(学習研究社)とノンフィクション『よみがえれ! 夢の国アイスランド』(日本放送出版協会)がある。
佐田千織
(サダチオリ )関西大学文学部卒。英米文学翻訳家。主な訳書に、ヌーヴェル《巨神計画》シリーズ、カヴァン『あなたは誰?』、『AIロボットSF傑作選 創られた心』(共訳)他多数。