ここは、わたしの世界ではない。
異色作家による平行世界SFの傑作!
満ち足りた生活を送っていたリックは、大事な会議の最中に異様な感覚に襲われた。妻が危ない! 憑かれたようにたどりついた先には無惨にひしゃげた妻の車。だが気がつくと事故に遭ったのは自分自身、妻は無事で息子はもともといないと告げられる。さらに自分ではないリックの意識と同居しているではないか。もとの自分に戻れるのか。なぜ彼はこんな世界に紛れ込んだのか。異色作家がディック的悪夢世界に、何重ものひねりをきかせ、論理的構成で挑んだ野心的なデビュー作。訳者あとがき=渡辺庸子
*2010年3月21日 讀賣新聞書評欄「本よみうり堂」で北上次郎氏が紹介。
渡辺庸子
(ワタナベヨウコ )法政大学(通信課程)日本文学科卒。訳書にジャクスン『丘の屋敷』、キーン《ナンシー・ドルー・ミステリ》シリーズ他多数。