近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学で復活したマンモスの保護区が創設されていた。象を保護する生物学者だったダミラは死後一世紀を経て、その意識を一頭のマンモスにデジタル移植し、群れを率いる存在となる。だが彼女らを狙う密猟者が……自然と人間の相剋を、新時代の俊英がSFならではの視点で描ききった、ヒューゴー賞受賞、ネビュラ賞・ローカス賞候補作。解説=勝山海百合
レイ・ネイラー
1976年カナダ・ケベック州生まれ、カリフォルニア州育ち。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院で国際外交学の修士号を取得。ロシアなど世界各地で外交や平和維持活動、国際開発援助に携わった。1996年から作家活動を始め、初長編The Mountain in the Sea(2022)でローカス賞第一長編部門を受賞。『絶滅の牙』(2024)でヒューゴー賞ノヴェラ部門を受賞。
金子浩
(カネコヒロシ )1958年生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。訳書にナガマツ『闇の中をどこまで高く』、ロビンスン『2312 太陽系動乱』、バチガルピ『ねじまき少女』(田中一江と共訳)他多数。