誕生日のたびに見る、黒衣の殺人鬼の悪夢。母の危篤を直感し、故郷に急ぐ旅の途上で不吉な痕跡を残していくもう一人の自分……帰郷と共にネッドが垣間見る血族の謎。一方、怪奇小説を耽読し『ダンウィッチの怪』を己が聖書と崇めるミスターXは、積年の殺意の標的をまさに捉えようとしていた。ブラム・ストーカー賞受賞作。
近藤麻里子
(コンドウマリコ )1961年宮城県生まれ。東京外国語大学卒業。英米文学翻訳家。主な訳書に、ストラウブ『ミスターX』『ヘルファイア・クラブ』、アームストロング『風船を売る男』などがある。