カーナッキ。電気式五芒星と古文献を駆使しオカルトと科学を混合させて怪奇現象に挑む、名うての“幽霊狩人”。彼が事件を解決するたび、わたしたち友人は招かれて冒険譚を堪能するのだ。被害者しかいない空間での死傷事件、不気味な口笛が響く部屋での怪談等、名探偵ホームズ譚と同時代に書かれその怪奇版として名高いシリーズ全作を新訳。本邦初訳の資料的作品1編を含む全10編。訳者あとがき=夏来健次
「礼拝堂の怪」
「妖魔の通路」
「月桂樹の館」
「口笛の部屋」
「角屋敷の謎」
「霊馬の呪い」
「魔海の恐怖」
「稀書の真贋」
「異次元の豚」
「探偵の回想」(本邦初訳作)
ウィリアム・ホープ・ホジスン
1877年英国エセックス州生まれ。父は英国国教会の牧師。13歳で外洋航行船に給仕として乗り込み、海での生活を始める。のちにこの体験が創作に生かされたと言われる。22歳で海の生活にピリオドを打ち、1904年に最初の作品“The Goddess of Death”を雑誌に発表。その後次々と作品を発表するが、1914年に勃発した第一次世界大戦に義勇兵として志願し、1918年に戦死する。
夏来健次
(ナツキケンジ )1954年新潟県生まれ。主な訳書にスティーヴンスン『ジキル博士とハイド氏』、ホジスン『幽霊狩人カーナッキの事件簿』、レノルズ『人狼ヴァグナー』、編書に『英国クリスマス幽霊譚傑作集』、共編書に『吸血鬼ラスヴァン』などがある。