老練の船長が体験した、あまりにもおぞましい晩餐会での出来事を語る「胸像たちの晩餐」、12人の求婚者から1人選んで結婚する毎に相手が死ぬという悲劇を繰り返す美女の物語「ノトランプ」、かつての惨劇の舞台であり、現在は観光名所となった《血の宿》に泊まった男女を見舞う絶体絶命の危機「恐怖の館」など、『オペラ座の怪人』で知られる文豪の手腕が発揮された恐怖綺譚集。
「金の斧
「胸像たちの晩餐」
「ビロードの首飾りの女」
「ヴァンサン=ヴァンサンぼうやのクリスマス」
「ノトランプ」
「恐怖の館」
「火の文字」
「蝋人形館」
ガストン・ルルー
1868年、パリ生まれ。法律を学び、弁護士資格を取得した後、日刊紙《エコー・ド・パリ》に記事を寄せるようになり、その後、劇評や裁判記録を多く執筆。《ル・マタン》紙の特派員などもつとめた。代表作である『黄色い部屋の謎』は、1907年に《イリュストラシオン》紙の文芸付録に連載したもので、1908年に刊行され、現在も密室ミステリの古典として不動の地位を保っている。『黄色い部屋の謎』で活躍する青年新聞記者ルルタビーユのシリーズのほかに、映画化、舞台化されている『オペラ座の怪人』の著者としても知られている。1927年没。