パリの骨董品オークションで手に入れた、がらくたの詰まった函。それは産業革命以前のフランスに生きたある男の「形見函」だった。それぞれの仕切りに収められているのは、広口壜、鸚鵡貝、編笠茸、木偶人形、金言、胸赤鶸、時計、鈴、釦、そして最後のひとつは空のまま。“形見”の品々が語り始める、ひとりの男の奇想天外な物語──。ヨーロッパ18世紀を見事に活写し、世界の批評家を唸らせたカーズワイル驚異のデビュー作登場!
*『本の雑誌増刊・おすすめ文庫王国2007年度版』ジャンル別ベスト10・現代小説ベスト10に選出(豊崎由美氏選)
アレン・カーズワイル
アメリカとヨーロッパで育ち、フリーランスのジャーナリストとして10年の経験を積んだのち小説家となる。1992年に『驚異の発明家(エンヂニア)の形見函』でデビュー。ドイツ、フランス、ロシアなど12カ国で出版され、国内外の批評家の絶賛を浴びる。グランタ誌の「アメリカでもっとも有望な若手作家」に選ばれ、アイリッシュタイムズ文学賞、メディシス賞などの候補となった。ニューヨーク公立図書館の研究員として過ごした経験をいかし『形見函と王妃の時計』(2001年)を執筆後、初の児童書『レオンと魔法の人形遣い』を刊行。ロードアイランド州プロヴィデンス在住。