正統派のホラー・ストーリーの第一人者として他を圧するレ・ファニュの選びぬかれた傑作集。夜な夜な窓辺に現われる白い手、姿なき復讐者にとりつかれた超自然の恐怖、犬に化身した父親の遺志、亡霊に恋人をとられた画家の怨念、悪徳判事に復讐する刑死者たちの亡霊、恋人の血を吸う美貌の令嬢など、作者の真価を伝える7編を収録。
J・S・レ・ファニュ
1814年アイルランド、ダブリン生まれ。ダブリン大学トリニティカレッジに進学し、38年、月刊雑誌「ダブリン・ユニバーシティ・マガジン」に“The Ghost and the Bone-Setter”を発表。その後も精力的に創作活動に励み、80に及ぶ短篇と15の長篇を残し、現在でもヴィクトリア朝を代表する怪奇幻想作家として愛読される。代表作に、『墓地に建つ館』『アンクル・サイラス』『ワイルダーの手』の長篇のほか、ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』に先駆けて発表された「吸血鬼カーミラ」などがある。73年没。