20世紀初頭に入り爛熟期を迎えた文化都市ウィーン。音楽と犯罪学に打ち込む素人探偵ダゴベルトは、友人グルムバッハ夫妻との晩餐後、葉巻と珈琲を楽しみつつ、ハプスブルグ朝末期の社交界で起きる様々な難事件解決の顛末を披露する。「クイーンの定員」にも選出されたダゴベルト探偵譚から9篇を精選。オーストリアのコナン・ドイルと称される著者の本邦初となるオリジナル短篇集。訳者あとがき=垂野創一郎
「上等の葉巻」
「大粒のルビー」
「恐ろしい手紙」
「特別な事件」
「ダゴベルト休暇中の仕事」
「ある逮捕」
「公使夫人の首飾り」
「首相邸のレセプション」
「ダゴベルトの不本意な旅」
垂野創一郎
(タルノソウイチロウ )1958年香川県生まれ、東京大学理学部卒。訳書にグロラー『探偵ダゴベルトの功績と冒険』、ペルッツ『最後の審判の巨匠』『夜毎に石の橋の下で』『ボリバル侯爵』、共訳書にコリア『ナツメグの味』などがある。