そのモニュメントはどう見ても奇妙だった。舟の中に横たわる若い女の裸体。それを見下ろす死神のまなざしはやさしく、骨の口もとには愛しげな微笑すら漂っている。墓石の芸術という、一風変わったテーマを研究するスウィーニーは、友人の誘いで、モニュメントのあるかつての芸術家村ビザンティウムを訪れる。だが墓石の謎を追う彼女の行く手に殺人事件が……。村の過去にいったい何があったのか? 死と象徴に満ちたシリーズ第1弾。訳者あとがき=野口百合子
野口百合子
(ノグチユリコ )東京外国語大学英米語学科卒業。フリードマン「もう年はとれない」、ボックス「発火点」「越境者」「嵐の地平」「熱砂の果て」、パーキン「小鳥と狼のゲーム」、クリスティ「秘密組織」「二人で探偵を」など訳書多数。