取材で黒い森(シュヴァルツヴァルト)を訪れた編集者のハンナは、トレッキングの最中に女性の死体を発見してしまう。被害者は10年前に村を出て帰郷したばかりの妊婦だったが、胎児が消えていた。村に伝わる“鴉谷(からすだに)”の不吉な言い伝えや、過去の嬰児失踪事件と関わりが? 堅物の刑事と敏腕女性編集者が、閉ざされた村での連続殺人を解き明かす。ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞の清冽なデビュー作! 解説=穂井田直美
ペトラ・ブッシュ
1967年、ドイツのメーアスブルク生まれ。大学で数学、情報科学、文学史や音楽学を学ぶ。中世の研究で博士号を取得。ジャーナリストやコピーライターとしても活躍している。デビュー作の『漆黒の森』で2011年のドイツ推理作家協会賞新人賞を受賞した。本書を含む、エルリンシュピール首席警部とハンナ・ブロックのシリーズは現在3作刊行されている。
酒寄進一
(サカヨリシンイチ )ドイツ文学翻訳家、和光大学教授。主な訳書として、2012年本屋大賞翻訳小説部門第1位に選ばれたシーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞を受賞したコルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ『デーミアン』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、ケストナー『終戦日記一九四五』、ノイハウス『友情よここで終われ』、ザルテン『バンビ――森に生きる』などがある。