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英国黄金時代を担ったミステリの女王セイヤーズ。本書は特異な動機の究明が余韻を残す表題作、不思議な遺言の謎を解く「因業じじいの遺言」、幻想味豊かな「歩く塔」など、才気横溢のピーター卿譚7編に、セイヤーズが現実の殺人事件を推理する興味津々の犯罪実話と、探偵小説論の礎をなす歴史的名評論を併載した、日本版短編集第2弾! 解説=真田啓介
*第10位 『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
「顔のない男」
「因業じじいの遺言」
「ジョーカーの使い道」
「趣味の問題」
「白のクイーン」
「証拠に歯向かって」
「歩く塔」
*
「ジュリア・ウォレス殺し」(犯罪実話)
「探偵小説論」
ドロシー・L・セイヤーズ
イギリスの作家。1893年オックスフォードに生まれる。オックスフォード大学を卒業後、広告代理店でコピーライターの仕事をしながら、1923年デビュー作にして貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿もの第一長編となる『誰の死体?』を発表。そのモダンなセンスにおいて紛れもなく黄金時代を代表する作家であり、名作『ナイン・テイラーズ』を含む味わい豊かな作品群は、今なお後進に多大な影響を与え、ミステリの女王としてクリスティと並び称されている。ほかの代表作に『五匹の赤い鰊』『学寮祭の夜』など。57年没。
宮脇孝雄
(ミヤワキタカオ )1954年生まれ。早稲田大学卒。ヘレン・マクロイ『ひとりで歩く女』、ジョン・ダニング『死の蔵書』、グラディス・ミッチェル『ソルトマーシュの殺人』など訳書多数。著書に『洋書天国へようこそ』『英和翻訳基本辞典』などがある。