クレア・デウィットはただの女探偵ではない。独特の探偵術を駆使し、巧みに銃を扱い、困難な調査でも決して諦めない。2007年、ハリケーンの傷痕が残るニューオーリンズで、クレアは失踪した地方検事補の捜索を依頼される。洪水で死んだと思われる一方で、嵐のあとに姿を見た者もおり経緯がわからない。真実によって誰かが傷つくこともある。しかし探偵にできるのは、謎を解決し先に進むことだけだ。傷ついた街と人々に寄り添う女探偵の活躍を描く、マカヴィティ賞最優秀長篇賞受賞作。訳者あとがき=高山祥子
*第9位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」作家部門
サラ・グラン
1971年アメリカ、ブルックリン生まれ。作家になる前に書店員や古書販売などさまざまな職業を経験した。著書に Saturn’s Return to New York 、『私の悪魔』、『堕天使の街』などがあり、テレビドラマや映画の脚本も手がけている。『探偵は壊れた街で』は2011年に発表された4作目の長篇作品で、独特の世界観を持つ女性私立探偵クレア・デウィットを主人公としたシリーズの第1作。2012年マカヴィティ賞最優秀長篇賞、ドイツ・ミステリ大賞翻訳部門一位を獲得し、ハメット賞やシェイマス賞最優秀処女私立探偵小説賞の最終候補作にもなるなど高い評価を得た。2013年に続篇 Clair DeWitt and the Bohemian Highway を発表。
高山祥子
(タカヤマショウコ )1960年東京都生まれ。成城大学文芸学部卒業。訳書にサラ・グラン『探偵は壊れた街で』『探偵は孤高の道を』、アリソン・マクラウド『すべての愛しい幽霊たち』、ジェームズ・バロン『世界一高価な切手の物語』、ケイト・ウィンクラー・ドーソン『アメリカのシャーロック・ホームズ』、レスリー・M・M・ブルーム『ヒロシマを暴いた男』などがある。