1980年のバルセロナ。弁護士のマリアは数年前に、悪徳警官セサルが情報屋を制裁した殺人未遂事件で、セサルを刑務所送りにしたことで名声を得た。だが今、事件が陰謀によって仕組まれていたと判明する。マリアは再調査をはじめ、自らの血の桎梏(しつこく)と体制側の恐るべき策略を知る。殺人、偽証、復讐に運命を狂わされた人間たちの悲哀が胸を打つ、欧州読書界で絶賛された大河ミステリ。訳者あとがき=宮ア真紀
ビクトル・デル・アルボル
1968年スペイン、バルセロナ生まれ。バルセロナ大学で歴史学を学んだが中退し、2年間ラジオ局で働いた。1992年から2012年まではカタルーニャ自治州警察に所属。2006年に刊行したデビュー作El peso de los muertos(死者の重み)で、ティフロス小説賞を受賞した。2011年刊行の『終焉の日』は10か国以上で翻訳刊行され、特にフランスでベストセラーとなり、ヨーロッパミステリ大賞を受賞。2016年にはLa víspera de casi todo(ほとんどすべてが始まる前日)で、スペインで最も権威ある文学賞のひとつ、ナダル賞を受賞。2017年にフランス芸術文化勲章シュヴァリエの受章候補者となった。