チャドランズ屋敷の「灰色の部屋」と呼ばれる閉ざされた部屋では、過去に二人の人間が不可解な死を遂げていた。その死体には外傷もなく、なんの異常も見出されなかった。そしてまた、部屋の謎に挑戦しようと一夜をそこで過ごした、屋敷の主ウォルター卿の娘婿トーマスが、原因不明の死を遂げる。ロンドンの有名な探偵が捜査を開始したが……。『赤毛のレドメイン家』の著者の傑作。訳者あとがき=橋本福夫
イーデン・フィルポッツ
1862年インド生まれ。イギリス本国で教育をうけ、事務員などを経て文筆の道に入る。数多くの推理小説、田園小説、戯曲、詩作を発表。わけても『赤毛のレドメイン家』は、江戸川乱歩がその読書体験を「万華鏡」に譬えて絶賛し、探偵小説ベスト10の第1位に選ばれたことで名高い傑作である。その他の作品に『闇からの声』、『溺死人』など。1960年没。