隠退した名刑事リングローズが旧領主邸ホテルで聞いた、姿なき者の闇からの声。それは、恐怖におののく子供の悲鳴であった。不審に思った彼が事情を調べてみたところ、同宿の老婦人から予想だにしない事実を知らされる──「その子供は亡くなったのですよ。このホテルで、一年以上も前に」と。名編『赤毛のレドメイン家』と並んで、推理小説史上に不滅の光芒を放つ、必読の傑作!
イーデン・フィルポッツ
1862年インド生まれ。イギリス本国で教育をうけ、事務員などを経て文筆の道に入る。数多くの推理小説、田園小説、戯曲、詩作を発表。わけても『赤毛のレドメイン家』は、江戸川乱歩がその読書体験を「万華鏡」に譬えて絶賛し、探偵小説ベスト10の第1位に選ばれたことで名高い傑作である。その他の作品に『闇からの声』、『溺死人』など。1960年没。