知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人探しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだった──。《本の雑誌》が選ぶ2020年度文庫ベスト10第1位『パラ・スター』の著者が、〈犯罪と私たち〉を真摯かつ巧緻に描いた壮大な力作。
阿部暁子
(アベアキコ )岩手県出身。2008年、『屋上ボーイズ』(応募時タイトルは「いつまでも」)で第17回ロマン大賞を受賞しデビュー。『どこよりも遠い場所にいる君へ』はベストセラーとなり、『パラ・スター〈Side 百花〉』『パラ・スター〈Side 宝良〉』二部作は《本の雑誌》が選ぶ2020年度文庫ベスト10第1位に選ばれた。ほかの著書に『鎌倉香房メモリーズ』(全5巻)や『また君と出会う未来のために』『室町繚乱』などがある。