時代を先取りするカリスマ経営者として有名な、IT大企業の会長・釜田芳人から直々に、自叙伝の代筆(ゴースト)の依頼を受けた上阪傑。余命6カ月だという釜田とは、かつて3冊の著作を代筆した後に支払いトラブルとなり、実に11年ぶりの再会だった。病床にある釜田を訪ね、1日1時間の約束で取材を進めていくと、これまでどこにも明かしてこなかったエピソードが出てくるのみならず、今までの本の内容に嘘があったことがわかってくる──。この依頼の裏に果たして何があるのか……。吉川英治文学新人賞受賞者が、“出版界の闇”に鋭く切り込む、驚愕のミステリ。
本城雅人
(ホンジョウマサト )1965年神奈川県生まれ。明治学院大学卒。スポーツ新聞記者、競馬雑誌デスクを経て、2009年『ノーバディノウズ』でデビュー。翌年に同作で第1回サムライジャパン野球文学賞を受賞。野球や競馬、サッカーなどを題材に、入念な取材に基づいた作品で人気を博している。主な著作に『スカウト・デイズ』『シューメーカーの足音』『サイレントステップ』『誉れ高き勇敢なブルーよ』『贅沢のススメ』『ライフ』がある。