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終戦から一年が経ち復興を遂げつつある古書の街・神田神保町の一隅で、ある日ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。古書の山に圧し潰され皮肉な最期を迎えた商売敵を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが、事故現場からは不可解な点が。次第に彼の周囲でも奇怪な事件が起こり始める――。古書店主の死をめぐる探偵行が歴史の闇に隠された陰謀を炙りだす、直木賞受賞作家の真骨頂と言うべき長編ミステリ。
門井慶喜
(カドイヨシノブ )1971年群馬県生まれ。同志社大学卒。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞、06年に最初の著書となる『天才たちの値段』を刊行する。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』が第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を、18年『銀河鉄道の父』が第158回直木賞を受賞。主な著書に『人形の部屋』『この世にひとつの本』『シュンスケ!』『東京帝大叡古教授』『家康、江戸を建てる』『屋根をかける人』『新選組の料理人』『にっぽんの履歴書』がある。