判型:四六判上製
ページ数:348ページ
初版:2004年2月27日
ISBN:978-4-488-01638-8
Cコード:C0097
装幀:柳川貴代+Fragment
ローマの詩人オウィディウスが描いたギリシア・ローマ神話世界の奇譚『変身物語』、ケルト装飾写本の永久機関めいた文様の迷宮、中世キリスト教聖人伝、アイルランドの民話、フェルメールの絵の読解とその贋作者の運命、顕微鏡や望遠鏡などの光学器械と17世紀オランダの黄金時代をめぐるさまざまの蘊蓄、あるいは普遍言語や遠隔伝達、潜水艦や不眠症をめぐる歴代の奇人たちの夢想と現実──。数々のエピソードを語り直し、少しずらしてはぎあわせていく、ストーリーのサンプリング。伝統的なほら話の手法が生きる、あまりにもモダンな物語! 解説=柴田元幸
*書評掲載:2004/3/7 毎日新聞、2004/4/4 朝日新聞・信濃毎日新聞・京都新聞ほか、2004/4/5 産経新聞
キアラン・カーソン
1948年北アイルランド、ベルファスト生まれ。76年に第一詩集The New Estateを刊行、78年に若い詩人に与えられる奨励賞であるエリック・グレゴリー賞を受賞して以降は、アイルランドの伝統音楽の研究に勤しむ。80年代後半から詩作に復帰、90年にBelfast Confettiがアイルランド文学賞を、93年にFirst Language: PoemsがT・S・エリオット賞を受賞。アイルランド文学を始め古典の英訳も手掛けており、03年にはダンテ『地獄篇』の英訳がオックスフォード・ヴァイデンフェルト翻訳賞を受賞。邦訳に『琥珀捕り』『シャムロック・ティー』『アイルランド音楽への招待』がある。19年没。
栩木伸明
(トチギノブアキ )1958年東京都生まれ。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士後期課程単位取得退学。アイルランド文学・文化専攻。2014年『アイルランドモノ語り』が第65回読売文学賞(随筆・紀行賞部門)を受賞。他の著作に『アイルランドのパブから 声の文化の現在』『声色つかいの詩人たち』『アイルランド紀行 ジョイスからU2まで』などが、訳書にカーソン『琥珀捕り』、イェイツ『赤毛のハンラハンと葦間の風』、トレヴァー『聖母の贈り物』、チャトウィン『黒ヶ丘の上で』などがある。