元地図学者のネルは、ニューヨーク公共図書館の高名な地図学者である父の急死を知らされる。父はなぜか、平凡な一枚の道路地図を大切に隠していた。だが、価値がないはずのその地図の複製は、あらゆる所蔵機関から失われていた。父の死の翌日に図書館を襲い、煙のように消えた殺人犯の狙いもこの地図らしい。ネルは地図の秘密を探っていく。その地図は、隠された世界への招待状だった──新鋭が放つ傑作幻想小説。2023年ミソピーイク賞候補。解説=渡邊利道
ペン・シェパード
アリゾナ州出身。ニューヨーク大学でクリエイティブ・ライティングの修士号を取得後、2020年の全米芸術基金の助成金を受けた。2019年、デビュー長編The Book of Mでノイコム研究所文芸賞を受賞。作品のテレビドラマ化や映画化も予定されている。2022年の長編『非在の街』は、翌年のミソピーイク賞候補作となった。
安原和見
(ヤスハラカズミ )1960年鹿児島県生まれ。翻訳家。東京大学文学部西洋史学科卒。訳書にダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイク・ガイド』、ジェイン・オースティン/セス・グレアム=スミス『高慢と偏見とゾンビ』、《フレドリック・ブラウンSF短編全集》など。