ファン待望の企画、開幕!
2007年の日本SFの精華 選りすぐった16作を収録
「2007年は、日本SFのゆりかご〈宇宙塵〉の創刊からちょうど50年。日本で初めて世界SF大会が開かれた記念すべき年でもあり、新たな出発点にふさわしい。ちなみに日本SFの総合的な年次傑作選は、筒井康隆編『日本SFベスト集成』以来33年ぶり。編者の手前ミソながら、SFファンのひとりとして、この企画が実現したことを心から喜びたい。SFは元気です」――大森望(序文より)
「国産SFはアンソロジー自体の数が少ないが、筒井康隆が編んだ『日本SFベスト集成』シリーズを除いて、年間ベストアンソロジーが見当たらないのは不思議であった。SFは新しいアイデア、自由な発想を求めて未来に目を向けているジャンルだから、後ろを振り返る風習が、そもそもないのかも知れない。しかし星新一がデビューしてから50年が過ぎ、日本SFは充分にジャンルとしての財産を積み重ねてきた。そろそろ毎年の秀作をまとめて、「歴史」を残していく時期に来たのではないか」――日下三蔵(解説より)
序文=大森望/収録作品紹介=大森望・日下三蔵/解説=日下三蔵/2007年の日本SF界概況=大森望
*讀賣新聞08年12月21日書評欄「本よみうり堂」の「文庫新書」欄で紹介
小川一水「グラスハートが割れないように」
山本 弘「七パーセントのテンムー」
田中哲弥「羊山羊」
北國浩二「靄の中」
円城 塔「パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語」
中原昌也「声に出して読みたい名前」
岸本佐知子「ダース考 着ぐるみフォビア」
恩田 陸「忠告」
堀 晃「開封」
かんべむさし「それは確かです」
萩尾望都「バースディ・ケーキ」
福永 信「いくさ 公転 星座から見た地球」
八杉将司「うつろなテレポーター」
平谷美樹「自己相似荘(フラクタルハウス)」
林 譲治「大使の孤独」
伊藤計劃「The Indifference Engine」
大森望
(オオモリノゾミ )1961年高知県生まれ。京都大学文学部卒。翻訳家、書評家、アンソロジスト。編著(責任編集)の書き下ろし日本SFアンソロジー《NOVA》シリーズで、第34回日本SF大賞特別賞を受賞。他の編著に《年刊日本SF傑作選》(日下三蔵との共編)。主な著書に『現代SF1500冊(乱闘編・回天編)』、『特盛!SF翻訳講座』、『狂乱西葛西日記20世紀remix』、『21世紀SF1000』、共著に『文学賞メッタ斬り!』シリーズ。主な訳書にウィリス『航路』、ベイリー『時間衝突』ほか多数。
日下三蔵
(クサカサンゾウ )1968年神奈川県生まれ。専修大学文学部卒。書評家、フリー編集者。主な著書に『日本SF全集・総解説』、『ミステリ交差点』、主な編著に、《年刊日本SF傑作選》(大森望との共編)、《日本SF全集》、《中村雅楽探偵全集》、《都筑道夫少年小説コレクション》、『天城一の密室犯罪学教程』ほか多数。