●青崎有吾氏推薦――「夢中で読めた。紛うことなき徹夜本だ。僕も人に強く薦めたくなったし、それを今こうして実行している」(日本経済新聞2014年12月10日夕刊)
迷子になった五歳の孤児・飛鳥は親切な青年に救われる。2年後、引き取られた家での虐めに耐えかね逃げ出した飛鳥に手を伸べ、手元に引き取ったのも、かの青年・滝杷祐也だった。飛鳥の頑なな心は、祐也や周囲の人々との交流を経て徐々に変化してゆくが……。ある毒殺事件を巡り交錯する人々の思いと、孤独な少女と青年の心の葛藤を、雪の結晶の如き繊細な筆致で描く著者の代表作。解説=山村正夫・三村美衣
佐々木丸美
(ササキマルミ )1949年北海道生まれ。75年『雪の断章』でデビュー。77年『崖の館』を発表。叙情と幻想を湛えた独自の作風で人気を博す。主な著作に『忘れな草』『花嫁人形』『水に描かれた館』『夢館』『罪灯』などがある。2005年逝去。