「あなたは幸せですか? 幸福でないかたはパーカー・パインにご相談ください」そんな奇妙な新聞広告を見てオフィスを訪れる、夫の浮気を疑う妻や、退屈した退役軍人の悩みを、パーカー・パインはいっぷう変わった方法で解決する。さらにオリエントへの旅では、各地で遭遇した事件の犯人を見事看破していく。異色の経歴の名探偵が活躍する短編14編を収めた作品集、新訳決定版。解説=大津波悦子
「中年の妻の事件」
「無聊(ぶりよう)をかこつ少佐の事件」
「悩めるレディの事件」
「不満な夫の事件」
「ある会社員の事件」
「大富豪夫人の事件」
「ほしいものはすべて手に入れましたか?」
「バグダッドの門」
「シーラーズの館」
「高価な真珠(しんじゆ)」
「ナイル河の死」
「デルフォイの神託」
「ポーレンサ入江の出来事」
「レガッタレースの日の謎」
アガサ・クリスティ
イギリスの作家。1890年生まれ。1920年に『スタイルズ荘の怪事件』でデビューして以来、長編と短編集あわせて100冊を超す作品を発表した。巧妙な着想と錯綜したプロット構成に、独創的なトリックの加わった『アクロイド殺害事件』や『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』といった多くの作品が、古典的名作としての評価を確立している。71年には長年の功績により、大英帝国勲章(DBE)を授与された。〈ミステリの女王〉たる彼女の創造した名探偵には、エルキュール・ポワロやミス・マープルなどがいる。76年没。
山田順子
(ヤマダジュンコ )1948年福岡県生まれ。立教大学社会学部社会学科卒業。主な訳書に、アーモンド『肩胛骨は翼のなごり』、キング『スタンド・バイ・ミー』、クリスティ『ミス・マープル最初の事件』、リグズ『ハヤブサが守る家』、プルマン『マハラジャのルビー』など。