見渡すかぎり一面の氷原。冷えきった世界で、人々は巨大なクレヴァスに穿たれた八つの都市に住み、氷上帆船を走らせて生活している。だがこの世界には次第に衰退が兆していた。氷が溶けはじめているらしいのだ。一隻の、巨大な氷上帆船が出航する。誰も到達したことのない幻の都市、ニューヨークを求めて! 巨匠がつむぐ驚異の新世界! 訳者あとがき=中村融
マイケル・ムアコック
イギリスの作家。1939年生。17歳で雑誌編集者となり、のちには英国ニューウェーヴ運動の拠点となったSF専門誌〈ニュー・ワールズ〉の編集長も務めた。いくつも存在する異なる世界を舞台に、多彩なヒーローたちが壮大なドラマを繰り返し演じ続ける、という構想のシリーズ作品を多数発表し、中でもルーンの杖秘録《ブラス城年代記》は、その中核をなす絢爛たるヒロイック・ファンタジイである。
中村融
(ナカムラトオル )1960年愛知県生まれ。中央大学卒業。SF・ファンタジイ翻訳家、研究家、アンソロジスト。主な訳書に、ウェルズ『宇宙戦争』『モロー博士の島』、ブラッドベリ『万華鏡』ほか多数。創元SF文庫での編著に『影が行く』『地球の静止する日』『時の娘』『時を生きる種族』『黒い破壊者』がある。