友達になった人間を救おうとして瀕死の傷を負ったフラレカナ。不思議な力によって回復した彼を迎え、群れは餌場を求めて〈世界の果ての氷〉へと旅立つが、そこにかつての豊かな海はなかった。クジラたちは最後の餌場を探して極洋を渡る。だがそこでも人間たちの魔手と、彼らのつくった〈見えない火〉の脅威が待ち受ける。3部作完結編。(『世界の果ての氷』を文庫化にあたり改題)
中村融
(ナカムラトオル )1960年愛知県生まれ。中央大学卒業。SF・ファンタジイ翻訳家、研究家、アンソロジスト。主な訳書に、ウェルズ『宇宙戦争』『モロー博士の島』、ブラッドベリ『万華鏡』ほか多数。創元SF文庫での編著に『影が行く』『地球の静止する日』『時の娘』『時を生きる種族』『黒い破壊者』がある。