ザトウクジラたちは緑の光に包まれて生まれ、やがて光のわだつみに召されていく……。のちに群れの長となるフルナが回想する若き日々。母の巨体の陰に安らいで育った赤ん坊の頃。畏怖に震えた父との対面。そして初めて出かけた大海原への独り旅。音楽的な鳴き声で知られるザトウクジラを語り手に贈る、神秘に満ちた海洋動物のオデッセイ。訳者あとがき=中村融
中村融
(ナカムラトオル )1960年愛知県生まれ。中央大学卒業。SF・ファンタジイ翻訳家、研究家、アンソロジスト。主な訳書に、ウェルズ『宇宙戦争』『モロー博士の島』、ブラッドベリ『万華鏡』ほか多数。創元SF文庫での編著に『影が行く』『地球の静止する日』『時の娘』『時を生きる種族』『黒い破壊者』がある。