「おれはだれだ?」記憶を失って目覚めた場所は、天高く雲をついて聳えたつ巨大な舘。全世界を睥睨せんがごときこの舘の主の名はオヒスファー・ミューラー。こいつは神か、あるいは悪魔か。捜し求めるは失踪したタマーラ姫。1000もの階層からなる超巨大建築を彷徨ううちに、“探偵”たるおれは、冒険家の集う町や他星系へ渡る人々の待合室、そして地獄に至る道を見出すが……。訳者あとがき=深見弾
ヤン・ヴァイス
1892年、イレムニツェ(現チェコ共和国)生まれ。ギムナジウム卒業後、第一次世界大戦に従軍し、シベリアに抑留される。1918年頃より創作に着手。27年、Zrcadlo,které se opožd’uje, Bárak smrti, Fantóm smíchuの3作で本格的にデビュー。本国ではカレル・チャペックと並ぶ高い名声を博している。代表作にZemě vnuků, Hádání o budoucímなどがある。1972年没。