ロイズは風変わりな少女だった。人には見えないものを視る目をもち、森を気ままにさまよい歩く。ある日彼女は泉のほとりで、光の中からひとりの若者が歩み出てくるのを見た。彼の名はコルベット、廃墟となっていたリン屋敷の跡取りだという。だがそこは呪われてると噂されるいわくつきの屋敷。ロイズは魅了されたかのように呪いの正体を探るが……。幻想の紡ぎ手マキリップが民間伝承をもとに織り上げた、こよなく美しいファンタジー。訳者あとがき=原島文世
パトリシア・A・マキリップ
1948年米オレゴン州セーラム生まれ。独特の繊細で幻想的な描写と、魅力的な登場人物で根強いファンが多い、現代ファンタジー界を代表する作家。世界幻想文学大賞、ローカス賞ファンタジー部門、ミソピーイク賞などファンタジー関連の著名な賞を数多く受賞している。2022年没。
http://www.patriciamckillip.com/
原島文世
(ハラシマフミヨ )群馬県生まれ。英米文学翻訳家。主な訳書にクラーク「ピラネージ」、マグワイア「不思議の国の少女たち」、キングフィッシャー「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」、リード「ザ・ブラック・キッズ」などがある。