思いたってメキシコ旅行に出かけたエイミーとウィルマ。ありふれた旅路となるはずだったが、滞在半ばウィルマがホテルのバルコニーから墜ちて死んでしまう。居合わせたエイミーもそのときの記憶を欠いたまま失踪。一体そこで何があったというのか? 依頼を受けた私立探偵ドッドは失踪人の身辺を探るが……。鬼才が放つ緊迫のサスペンス。
マーガレット・ミラー
1915年、カナダのオンタリオ州生まれ。38年、高校の同級生であったケネス・ミラー(ロス・マクドナルド)と結婚。41年The Invisible Wormで作家デビュー。緊張に満ちた心理描写と詩的な文体、最後の一行がもたらす戦慄など、他に類のないサペンスを多く発表。『狙った獣』で56年にMWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞最秀長編賞を受賞し、83年にはMWA賞グランドマスター賞を受賞する。著作に『悪意の糸』『殺す風』『まるで天使のような』などがある。94年没。