ベストセラー作家のヘンリーには、編集者と愛人関係にあること以外にも、決して明かすことのできない秘密があった。新作が残り20ページまで書き上がったとき、ヘンリーは愛人から妊娠したことを告げられる。待ち合わせ場所に車で赴いたヘンリーは、魔がさして……。だが帰宅した彼を、驚愕の事実が待ち受けていた! 真実と嘘がちりばめられた、巧緻にして幻惑に満ちた傑作長編。訳者あとがき=浅井晶子
ザーシャ・アランゴ
1959年ベルリンで、コロンビア人の父とドイツ人の母のあいだに生まれる。1989年からテレビドラマ、ラジオドラマ、映画の脚本家として活躍。国民的な人気番組『犯行現場』の脚本を手がけ、ドイツテレビ界で最も権威あるグリメ賞を二度受賞。初めて書いた小説である『悪徳小説家』は、25か国で出版されたほか、CWA(英国推理作家協会)賞インターナショナル・ダガー賞の候補にも選ばれている。
浅井晶子
(アサイショウコ )1973年大阪府生まれ。京都大学大学院博士課程単位認定退学。訳書にJ・W・タシュラー『誕生日パーティー』、C・リンク『失踪者』、『裏切り』等多数あり。J・エルペンベック『行く、行った、行ってしまった』で2021年度日本翻訳家協会翻訳特別賞受賞。