ホックといえば、誰もが個性的な名探偵たちを思い出すだろう。だが、あまり知られていないが、シリーズもの以外の短編も数多く書いているのだ。本書はそんな単発作品の中から21編を選んでまとめたもの。名探偵ものとはこれまたがらりと変わった陰のある登場人物たちと余韻の残る物語に、作者の新たな魅力が発見できる。
*第6位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/作家部門
エドワード・D・ホック
アメリカの作家。1930年ニューヨーク州生まれ。1955年、雑誌にサイモン・アークもの第1作となる短編「死者の村」が掲載されデビュー。以降50年以上にわたり、短編ミステリの第一人者として活躍し続けた。サイモン・アーク、怪盗ニック・ヴェルヴェット、レオポルド警部やサム・ホーソーン医師など、多種多彩なキャラクターを起用して謎解きの醍醐味を満喫させる作風は本国でも高く評価され、2001年にはアメリカ探偵作家クラブ(MWA)生涯功労賞を受賞したほか、数々の栄誉に輝いている。2008年没。