幽霊を憑依させる体質のメイクピースは、母とふたりで暮らしていたが、母が亡くなり残された彼女のもとに父親の一族から迎えが来る。父は死者の霊を取り込む能力をもつ旧家の出だったのだ。父の一族の屋敷で暮らし始めたものの、屋敷の人々の不気味さに我慢できなくなり、メイクピースは逃げだす決心をする。『嘘の木』の著者が17世紀英国を舞台に逞しく生きる少女を描く傑作。訳者あとがき=児玉敦子/解説=杉江松恋
フランシス・ハーディング
英国ケント州生まれ。オックスフォード大学卒業後、2005年に発表したデビュー作Fly By Nightでブランフォード・ボウズ賞を受賞。2011年に発表したTwilight Robberyがガーディアン賞の最終候補に、また2012年の『ガラスの顔』がカーネギー賞候補に、2014年の『カッコーの歌』は英国幻想文学大賞を受賞し、カーネギー賞の最終候補になった。そして2015年、『嘘の木』でコスタ賞(旧ウィットブレッド賞)の児童文学部門、さらに同賞の全部門を通しての大賞に選ばれるという快挙を成し遂げ、米国のボストングローブ・ホーンブック賞も受賞、カーネギー賞の最終候補にもなった。2017年に刊行された『影を呑んだ少女』も同賞の最終候補作に選ばれた。
児玉敦子
(コダマアツコ )東京都生まれ。国際基督教大学教養学部社会科学部卒。英米文学翻訳家。主な訳書にハーディング『カッコーの歌』『影を呑んだ少女』『ガラスの顔』『呪いを解く者』、共訳に『ネイサン・チェン自伝』などがある。