演劇プロデューサーのピーター・ダルースは、妻アイリスが母親の静養に付き添ってジャマイカへ発った留守中、作家志望の娘ナニーと知り合った。ナニーのつましい生活に同情したピーターは、自分のアパートメントは日中誰もいないからそこで執筆すればいいと言って鍵を貸す。数週経ち空港へアイリスを迎えに行って帰宅すると、あろうことか寝室にナニーの遺体が! 身に覚えのない浮気者の烙印を押され肩身の狭い思いをするピーターは、その後判明した事実に追い討ちをかけられ、汚名をそそぐべくナニーの身辺を調べはじめるが……。サスペンスと謎解きの妙にうなる掛け値なしの傑作。60周年記念新訳。解説=川出正樹
*第4位『2015本格ミステリ・ベスト10』海外ランキング
パトリック・クェンティン
リチャード・ウィルスン・ウェッブ Richard Wilson Webb(1901年英国生まれ。1966/70年歿)とヒュー・キャリンガム・ウィーラー Hugh Callingham Wheeler(1912年英国生まれ。1987年歿)の共作ペンネーム。著書に『迷走パズル』『俳優パズル』『人形パズル』等がある。
白須清美
(シラスキヨミ )1969年山梨県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学翻訳家。訳書にイネス「霧と雪」、クェンティン「迷走パズル」「俳優パズル」「人形パズル」「女郎蜘蛛」、バークリー「服用禁止」、ディクスン「かくして殺人へ」等がある。