ミッドウェスタン大学の戦時委員会の議長が、内側から鍵のかかったホールの窓から飛び降りて謎の死をとげた。彼は会の情報をナチの情報部へ流しているスパイを探っていたところだった。折りしも、彼の親友ロバートが六年前にミュンヘンで別れた恋人がこの大学に来ているという。偶然の一致か? ハードボイルドの巨匠の処女作。本邦初訳!
ロス・マクドナルド
1915年にカリフォルニアで生まれ、西部カナダで育ち、44年に長編『暗いトンネル』でデビューした。49年の『動く標的』以降、私立探偵リュー・アーチャーを登場させ、ハメット、チャンドラーに次ぐハードボイルド派の巨匠と目され、現代アメリカ・ミステリ界を代表する作家の一人となった。『ミッドナイト・ブルー』はその足跡を概観するのに格好の一冊である。1983年歿。