長い三十年間の失踪の後に帰宅し、死の床に伏していた祖父が語ったのは、ある一家の奇怪で悲惨な事件だった。一家の四人の兄妹は、医者である父親に殺された母親のバラバラにされた体の一部を、父親自身の手でそれぞれの体に埋め込まれたという。四人のその後の驚きに満ちた人生とそれを語る人々のシュールでグロテスクな物語。ポストモダン小説を語る上で、欠くことのできない傑作。マコーマックの騙りの魔術の出発点。解説= 柴田元幸
エリック・マコーマック
1940年、スコットランド生まれ。グラスゴー大学卒業。1966年、カナダに移住。マニトバ大学、ウォータールー大学で17世紀および現代英文学の教鞭を執った。著書は他に『雲』『パラダイス・モーテル』『ミステリウム』等がある。
増田まもる
(マスダマモル )1949年宮城県生まれ。早稲田大学文学部中退。英米文学翻訳家。