史上最高の天才物理学者である姉に、なにかにつけて振りまわされるぼく。大学4年生になる夏に日本でおこなわれた“あの実験”以来、ぼくは3年ぶりに姉に呼び出された。彼女は月をはるかに越えた先、ラグランジュポイントに浮かぶ国際研究施設で、秘密裏に“別の宇宙”を探索する実験にとりかかっていた。第5回創元SF短編賞受賞の表題作に始まる、新時代の理論派ハードSF。著者あとがき=高島雄哉/解説=堺三保
高島雄哉
(タカシマユウヤ )1977年山口県宇部市生まれ。東京大学理学部物理学科卒、東京藝術大学美術学部芸術学科卒。2014年、「ランドスケープと夏の定理」で第5回創元SF短編賞を受賞(門田充宏「風牙」と同時受賞)。18年の同題長編化作品は、第一作ながら『SFが読みたい!』国内篇第5位に、また星雲賞日本長編部門候補となった。19年の『21.5世紀 僕たちはどう生きるか?』は星雲賞ノンフィクション部門候補となる。他の作品に、『不可視都市』『青い砂漠のエチカ』『宇宙戦艦ヤマト 黎明篇 アクエリアス・アルゴリズム』など。16年の劇場用アニメーション『ゼーガペインADP』に始まり、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』『ブルバスター』、VRゲーム『アルトデウスBC』『ディスクロニアCA』など多くの作品にSF考証として参加する。