“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く一族の姿を鮮やかに描き上げた稀代の雄編。著者あとがき=桜庭一樹
*2007年 第137回直木賞候補作
*第2位『このミステリーがすごい!2008年版』国内編
*第2位『ミステリが読みたい!2008年版』日本部門
*第4位『週刊文春』「2007ミステリーベスト10」/国内部門
*第10位『SFが読みたい!2008年版』ベストSF2007国内篇
*第10位『ミステリが読みたい!2011年版』ゼロ年代ミステリベスト・ランキング国内篇
*2010年11月14日(日)、朝日新聞・読書面「売れてる本」欄で、佐々木敦氏により紹介。記事題名は「これぞ小説のアクロバット」。
桜庭一樹
(サクラバカズキ )1999年「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』と改題して刊行)で第1回ファミ通えんため大賞に佳作入選。2003年開始の〈GOSICK〉シリーズで多くの読者を獲得し、さらに04年発表の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価される。07年に『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を、翌08年に『私の男』で第138回直木賞を受賞。おもな著書に『少女には向かない職業』『製鉄天使』『荒野』『ファミリーポートレイト』『ばらばら死体の夜』『無花果とムーン』『小説 火の鳥 大地編』『少女を埋める』『紅だ!』『彼女が言わなかったすべてのこと』など、またエッセイ集に〈桜庭一樹読書日記〉シリーズや『東京ディストピア日記』などがある。