高校時代「ルピナス探偵団」と称して様々な謎解きに関わった三人の少女と少年一人。だが卒業から数年後に、一人が不治の病で世を去った、奇妙な小径の謎を残して──。探偵団最後の事件を描く第一話「百合の木陰」から卒業式前夜に発生した殺人事件の謎に挑む第四話「慈悲の花園」まで、時間を遡って少女探偵団の“その後”を描く、津原泰水にしか書き得ない青春探偵小説の傑作。解説=石井千湖
津原泰水
(ツハラヤスミ )1964年、広島県生まれ。青山学院大学卒。89年、津原やすみ名義で少女小説作家としてデビュー。97年、現名義で発表した『妖都』以降、様々なジャンルを横断する作品を執筆している。2012年、『11 eleven』が第2回Twitter文学賞国内部門1位となる。14年、短篇「五色の舟」がS-Fマガジン“オールタイム・ベストSF”国内短篇部門1位に選出される。近藤ようこにより漫画化された同作が、第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞する。〈ルピナス探偵団〉〈幽明志怪〉シリーズほか、『少年トレチア』『綺譚集』『ブラバン』『ヒッキーヒッキーシェイク』『夢分けの船』など著作多数。22年逝去。翌23年、第43回日本SF大賞功績賞を受賞した。