合衆国陸軍の特技兵(コツク)、19歳のティムはノルマンディー降下作戦で初陣を果たす。軍隊では軽んじられがちなコックの仕事は、戦闘に参加しながら炊事をこなすというハードなものだった。個性豊かな仲間たちと支え合いながら、ティムは戦地で見つけたささやかな謎を解き明かすことを心の慰めとするが。戦場という非日常における「日常の謎」を描き読書人の絶賛を浴びた著者の初長編。解説=杉江松恋
深緑野分
(フカミドリノワキ )1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞に佳作入選、同作を表題作とした短編集を刊行しデビュー。19年『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞第1位に選ばれる。他の著書に『戦場のコックたち』『分かれ道ノストラダムス』『この本を盗む者は』『カミサマはそういない』『スタッフロール』『空想の海』がある。