失敬したフォルクスワーゲンに乗り込んだ四人とおんぼろフォードの主が、京葉道路で拾った女で一儲けしようと、伸るか反るかの誘拐作戦をぶち上げた! ワーゲンを無断借用された私立探偵が事件の関係者として登場、捜査官の向こうを張って局面を更に掻き回す……。章を交互に書き進める二人の語り手捜しなど、趣向満載の本格探偵小説。
都筑道夫
(ツヅキミチオ )1929年東京市生まれ。10代の頃から様々な筆名で小説を発表する。やがて翻訳家に転身、早川書房で日本版〈エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン〉の初代編集長を務め、〈ハヤカワ・SF・シリーズ〉の創刊にも尽力。61年に『やぶにらみの時計』で作家として再デビューしたのちは、ミステリやSF、時代小説から脚本、評論に至るまで幅広いジャンルで旺盛な執筆活動を行った。2001年に『推理作家の出来るまで』で第54回日本推理作家協会賞を、02年には第6回日本ミステリー文学大賞を受賞。03年没。