目黒本町のマンションで殺害された小西のぞみの身辺を調べていくと、武蔵学院大学アメフト部「ボアーズ」との関連が浮上、更にはボアーズの仲間内でこの五年に複数の変死者が出ていると判明した。これらは繋がっているのか。松谷警部は白石巡査らと捜査に当たるが、のぞみの事件についてボアーズ関係者のアリバイはほぼ成立し、動機らしきものも見当たらない。過去の事件は不可解な点を残しながらも既決事項となっている。白石巡査は「動機は後回し」と地道に捜査を進め、ついに犯人がわかったと宣言。松谷の自宅で清酒「浦霞」を傾けながら、白石の謎解きが始まる。犯人当ての妙味に富んだ本格ミステリ、文庫書き下ろし。解説=村上貴史
*第11位『2014本格ミステリ・ベスト10』国内編
平石貴樹
(ヒライシタカキ )1948年函館市生まれ。東京大学、同大学大学院に学ぶ。83年「虹のカマクーラ」で第7回すばる文学賞受賞。著書に『笑ってジグソー、殺してパズル』『だれもがポオを愛していた』『フィリップ・マーロウよりも孤独』『スラム・ダンク・マーダー その他』『サロメの夢は血の夢』『スノーバウンド@札幌連続殺人』『松谷警部と目黒の雨』等がある。