宗教団体〈人類協会〉の総本部にいったんは温かく迎えられた英都大学推理小説研究会の一行だったが、殺人事件が突発するや問答無用の軟禁状態に。協会幹部は警察に通報せず自分たちで犯人を突き止めると宣言。自由を回復するため推理研のメンバーも助力を約すが、調査は思うように進まない。そして焦躁の一夜が明けた総本部に銃声が轟き、さらなる犠牲者の存在が明らかになった。抵抗運動も試みつつ真相究明に努める推理研会員。思いがけない人物の登場によって事態はまたも転回、謎は深まったかに思われたが。大いなる混沌に秩序をもたらす名推理、江神シリーズ第四作となる本格巨編。著者あとがき=有栖川有栖/解説=松浦正人
有栖川有栖
(アリスガワアリス )1959年大阪府生まれ。同志社大学卒。89年『月光ゲーム』でデビュー。2003年『マレー鉄道の謎』で第56回日本推理作家協会賞、08年『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞、17年『幻坂』で第5回大阪ほんま本大賞、18年〈火村英生シリーズ〉で第3回吉川英治文庫賞を受賞。『孤島パズル』『双頭の悪魔』『山伏地蔵坊の放浪』『江神二郎の洞察』など著書多数。