「ミステリーズ!新人賞」から、これまで数多くの才能が登場してきた。歴史ミステリの旗手と期待される高井忍。中華ミステリという異色の分野で活躍する秋梨惟喬。コミカルな読み味とトリックの切れが冴える滝田務雄。非凡な発想と構成で読み巧者も唸らせる沢村浩輔。大藪春彦賞受賞をはじめ、破格の評価を受ける梓崎優。新鋭五人の輝かしい出発点となった作品を一冊にして贈る。
高井忍「漂流巌流島」
秋梨惟喬「殺三狼」
滝田務雄「田舎の刑事の趣味とお仕事」
沢村浩輔「夜の床屋」
梓崎優「砂漠を走る船の道」
高井忍
(タカイシノブ )1975年京都府生まれ。立命館大学卒業。2005年「漂流巌流島」が綾辻行人、有栖川有栖両氏に絶賛され、第2回ミステリーズ!新人賞を受賞しデビュー。著作に『漂流巌流島』『柳生十兵衛秘剣考』『蜃気楼の王国』『柳生十兵衛秘剣考 水月之抄』『本能寺ゲーム遊戯(ゲーム)』『名刀月影伝』などがある。
秋梨惟喬
(アキナシコレタカ )1962年8月17日岐阜県生まれ。広島大学文学部史学科(東洋史学)卒業。1993年「落研の殺人」が鮎川哲也編『本格推理2』に、1995年「憧れの少年探偵団」が北村薫・宮部みゆき選『推理短編六佳撰』に収録される(ともに那伽井聖名義)。2006年、秋梨名義による「殺三狼」で第3回ミステリーズ!新人賞を受賞。
滝田務雄
(タキタミチオ )1973年福島県生まれ。日本大学芸術学部卒。2006年、「田舎の刑事の趣味とお仕事」で第三回ミステリーズ!新人賞を受賞してデビュー。同シリーズに『田舎の刑事の動物記』『田舎の刑事の好敵手』が、他の著作に『ワースト・インプレッション』『捕獲屋カメレオンの事件簿』などがある。
沢村浩輔
(サワムラコウスケ )1967年大阪府生まれ。2006年、「『眠り姫』を売る男」で第3回ミステリーズ!新人賞最終候補作に選出される。翌07年、同賞に投じた「夜の床屋」で、第4回ミステリーズ!新人賞を受賞しデビュー。
梓崎優
(シザキユウ )1983年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。2008年、短編「砂漠を走る船の道」で第5回ミステリーズ!新人賞を受賞する。選考委員から激賞された受賞作を第一話に据え連作化した『叫びと祈り』を10年に刊行。同書は《週刊文春》ミステリーベスト10国内部門第2位をはじめ各種年間ミステリ・ランキングの上位を席巻し、2011年本屋大賞にノミネートされた。13年に初長編となる『リバーサイド・チルドレン』を発表し、翌年に第16回大藪春彦賞を受賞。