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*第75回日本推理作家協会賞【評論・研究部門】受賞作
最終巻にはレンデル、ハイスミスといった作家の秀作や、イギリスで存在感を示した書き下ろしアンソロジー〈ウィンターズ・クライム〉の優品、MWA短編賞作家の傑作など全12編を収録する。編者が20世紀最高の短編ミステリとするブランド「ジェミニー・クリケット事件」は、史上初めてアメリカ版とイギリス版を2編同時に収めた。前代未聞のアンソロジーにして評論書ここに完結。
「終(つい)のすみか」ジョイス・ハリントン 藤村裕美訳
「しがみつく女」ルース・レンデル 白須清美訳
「交通違反」ウィリアム・バンキア 直良和美訳
「拳銃所持につき危険」ジェフリイ・ノーマン 門野集訳
「またあの夜明けがくる」パトリシア・ハイスミス 直良和美訳
「パパの番だ」ジェイムズ・マクルーア 白須清美訳
「バードウォッチング」デイヴィッド・ウィリアムズ 藤村裕美訳
「最期の叫び」マイクル・コリンズ 門野集訳
「アッカーマン狩り」ローレンス・ブロック 門野集訳
「家族の輪」スタンリイ・エリン 猪俣美江子訳
「ジェミニー・クリケット事件〈アメリカ版〉」クリスチアナ・ブランド 深町眞理子訳
「ジェミニー・クリケット事件〈イギリス版〉」クリスチアナ・ブランド 深町眞理子訳
*
「短編ミステリの二百年」小森収
第十五章 MWA賞の凋落とクライムストーリイの行方
1 七〇年代のMWA短編賞
2 七〇年代クライムストーリイのエース1――ジョイス・ハリントン
3 七〇年代クライムストーリイのエース2――ルース・レンデル
4 クライムストーリイの後継者たち
5 七〇年代クライムストーリイのもう一方の旗手――ローレンス・ブロック
6 凋落の始まり
第十六章 ウィンターズ・クライムとアンソロジーの時代
1 ふたつのアンソロジーの間に
2 ウィンターズ・クライム輸入前史
3 ブリティッシュ・クライムストーリイの活況
4 パズルストーリイ作家たちのウィンターズ・クライム
5 「バードウォッチング」の指し示すこと
第十七章 シリーズキャラクターの功罪
1 七〇年代初頭の短編パズルストーリイ状況
2 ネオハードボイルド邦訳の背景
3 ダン・フォーチュン――ハードボイルド最後のサムライ
4 ローレンス・ブロックのシリーズキャラクター
5 ネオハードボイルドを超える可能性――V・I・ウォーショースキー
6 シリーズキャラクターの時代のMWA賞――ローレンス・ブロックと殺し屋ケラー
7 二十一世紀に入ったエドガー
幕間 個人短編集翻訳の盛衰
第十八章 残りの二十年に向けて
1 晩年のパトリシア・ハイスミス
2 屹立する作家の肖像ACT3
3 クリスチアナ・ブランドの軌跡
終章 誰が謎を解いたのか
1 「ジェミニー・クリケット事件」のふたつのヴァージョン
2 ふたつの「ジェミニー・クリケット事件」1――その結末
3 ふたつの「ジェミニー・クリケット事件」2――その冒頭
4 ふたつの「ジェミニー・クリケット事件」3――ヘレンに触れられること
5 そして誰も解かなかった
6 Get over
7 結び
小森収
(コモリオサム )1958年福岡県生まれ。編集者、評論家、作家。大阪大学人間科学部卒業。演劇評論家、文芸書の編集者として活動するほか書評・ミステリ評論の分野でも精力的に活躍する。主な著書・編書に『はじめて話すけど……』『小劇場が燃えていた』『都筑道夫ポケミス全解説』『本の窓から』『死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選』『ミステリ=22』、小説の著作に『終の棲家は海に臨んで』『土曜日の子ども』などがある。2022年、三世紀にわたる短編ミステリの歴史を俯瞰したアンソロジー&評論書〈短編ミステリの二百年〉(全6巻)で第75回日本推理作家協会賞および第22回本格ミステリ大賞(ともに評論・研究部門)を受賞。
白須清美
(シラスキヨミ )1969年山梨県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学翻訳家。訳書にイネス「霧と雪」、クェンティン「迷走パズル」「俳優パズル」「人形パズル」「女郎蜘蛛」、バークリー「服用禁止」、ディクスン「かくして殺人へ」等がある。