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*第75回日本推理作家協会賞【評論・研究部門】受賞作
短編ミステリの歴史をたどりなおす本アンソロジー第3巻では、第二次世界大戦後に雑誌《エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)》とその年次コンテストが与えた多大なる影響をつぶさに見ていく。小説はスタンリイ・エリンに代表されるコンテスト受賞作家の作品を中心に、11編の傑作を清新な訳文で収録。編者の評論には、EQMMコンテスト受賞作リストも掲載した。
「ナボテの葡萄園(ぶどうえん)」メルヴィル・デイヴィスン・ポースト 門野集訳
「良心の問題」トマス・フラナガン 藤村裕美訳
「ふたつの影」ヘレン・マクロイ 直良和美訳
「姿を消した少年」Q・パトリック 白須清美訳
「女たらし」ウィルバー・ダニエル・スティール 門野集訳
「敵」シャーロット・アームストロング 藤村裕美訳
「決断の時」スタンリイ・エリン 深町眞理子訳
「わが家のホープ」A・H・Z・カー 藤村裕美訳
「ひとり歩き」ミリアム・アレン・ディフォード 猪俣美江子訳
「最終列車」フレドリック・ブラウン 安原和見訳
「子供たちが消えた日」ヒュー・ペンティコースト 白須清美訳
*
「短編ミステリの二百年」小森収
第三章 英米ディテクティヴストーリイの展開(承前)
9 アメリカン・パズルストーリイの陰の流れ1――M・D・ポースト
10 アメリカン・パズルストーリイの陰の流れ2――T・S・ストリブリング
11 アメリカン・パズルストーリイの陰の流れ3――トマス・フラナガン
幕間 ふたつの戦争、ふたつの浜辺
第四章 EQMM年次(アニュアル)コンテストとスタンリイ・エリンの衝撃
1 EQMM年次コンテスト受賞作
2 初期コンテストから見るクイーンの戦略
3 屹立する作家の肖像ACT1
4 コンテスト初期の原動力となった作家1――ヘレン・マクロイ
5 コンテストの拡大と充実
6 コンテスト初期の原動力となった作家2――Q・パトリック
7 最盛期に向けて
8 パズルストーリイの栄光――「敵」と「アデスタを吹く冷たい風」
9 アームストロングの全体像
10 上昇していく受賞作の水準
11 大ヴェテランの試行錯誤
12 クライムストーリイの栄華――「決断の時」と「黒い小猫」
13 A・H・Z・カーの位置
14 拡大する受賞作
15 中堅作家群像
16 コンテストの拡張とイヴェント化
17 異端児デイヴィッドスン
18 使命の終わり
19 総括
第五章 四〇年代アメリカ作家の実力
1 四〇年代アメリカの状況
2 フレドリック・ブラウン1――四〇年代短編ミステリ&SFの王者
3 フレドリック・ブラウン2――彼はアイデアストーリイ作家なのか?
4 量産型作家(アヴェレージヒッター)の先駆者――ヒュー・ペンティコースト
5 シリーズキャラクターの時代に向かって
小森収
(コモリオサム )1958年福岡県生まれ。編集者、評論家、作家。大阪大学人間科学部卒業。演劇評論家、文芸書の編集者として活動するほか書評・ミステリ評論の分野でも精力的に活躍する。主な著書・編書に『はじめて話すけど……』『小劇場が燃えていた』『都筑道夫ポケミス全解説』『本の窓から』『死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選』『ミステリ=22』、小説の著作に『終の棲家は海に臨んで』『土曜日の子ども』などがある。2022年、三世紀にわたる短編ミステリの歴史を俯瞰したアンソロジー&評論書〈短編ミステリの二百年〉(全6巻)で第75回日本推理作家協会賞および第22回本格ミステリ大賞(ともに評論・研究部門)を受賞。
直良和美
(ナオラカズミ )東京生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。英米文学翻訳家。主な訳書、ローザン「チャイナタウン」「ピアノ・ソナタ」、デ・ジョバンニ「集結」「誘拐」、フレムリン「泣き声は聞こえない」など。