黒死病に魅入られた世紀末ロンドン。シェイクスピアは勇躍、芝居の世界に飛びこんだ。ところが、畏友ハリーが人里離れた街道筋で背中を一突きされて頓死し、仇を討つべく彼はひとり馬上の人となる――英国でいまだカトリックの徒が暮らすという北をめざして。不世出の劇作家を主人公に、謎と剣が火花を散らす波瀾万丈の物語が幕を開ける!
フェイ・ケラーマン
アメリカの作家。1952年生まれ。出産を機に家庭に入り、夫ジョナサンに遅れること1年、『水の戒律』によりデビューした。ロサンゼルス市警のデッカーと正統派ユダヤ教徒のリナの生活感をこまやかに滲ませた、新鮮な警察小説シリーズをスタートさせた。劇作家シェイクスピアが八面六臂の活躍を見せる大長編『慈悲のこころ』も評価が高く、ユニークな存在感を示している。